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2016.8.9 : 米中首脳会談 温暖化対策 パリ協定同時批准




米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席は3日、地球温暖化防止に向けた国際的な新しい枠組み「パリ協定」を批准したと共同発表した。
協定は批准国の温室効果ガス排出量の総計が世界全体の55%以上になることを発効の条件にしており、世界の排出量の約4割を占める2大排出国の同時批准で早期発効に向けて大きく加速した。

「南シナ海」応酬

両首脳は中国・杭州で批准文書を国連の潘基文(バンキムン)事務総長にそろって寄託し、地球規模の問題における協調関係を演出した。オバマ大統領は「いつの日か、地球を救った日だと思い起こされることになるだろう」と述べた。
習主席も「中国は最大の発展途上国であり、米国は最大の先進国。
両国は地球規模の問題に共同で対応する決意を示した」と語り、各国にも批准への努力を求めた。米中両国などは年内の発効を目指している。
気候変動問題での協力を演出する米中だが、中国の海洋進出などを巡る溝は深い。ロイター通信によると、オバマ大統領はその後、習主席と会談し、中国の主張を全面的に退けた7月の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判決に言及。国連海洋法条約に基づく義務を守る必要性を強調した。
オバマ大統領が判決について習主席と直接議論するのは初めて。新華社通信によると習氏は米側が南シナ海問題で「建設的な役割」を果たすよう要求した。
パリ協定は昨年12月に採択され、各国で批准手続きが進む。温室効果ガス排出量の割合が最大の中国は20・1%、2位の米国は17・9%を占めている。
11月にはモロッコで国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)が開かれ、パリ協定に実効性を持たせるための具体的なルール作りの議論が始まる。COP22での議論で存在感を発揮するためにも、批准に踏み切る国・地域が出てくるとみられる。
米中両国は気候変動分野に関する成果文書を発表し、強力な温室効果がある代替フロンを削減するために「モントリオール議定書」の修正を目指すことや、国際線航空機が排出する温室効果ガス削減に向けた基準作りで連携していく方針でも合意した。


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