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2016.9.1 : 台風10号 大雨で川氾濫




「大型の台風10号は30日、岩手県に上陸した後、東北地方を縦断して日本海に抜け、31日午前0時に温帯低気圧に変わった。国土交通省によると、北海道、岩手、青森両県の8水系17河川で堤防の決壊や浸水被害が出ている。岩手県警によると、岩泉町の小本(おもと)川が氾濫し、 同町乙茂地区にある高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」で入所者とみられる高齢者9人が意識不明の状態で見つかり、全員の死亡が確認された。さらに、小本川の川岸で男性1人、同町に隣接する久慈市でも女性1人の死亡が確認された。また、北海道では清水、大樹、新得各町でそれぞれ男性1人が行方不明になっている。
岩泉町によると、「楽ん楽ん」は三陸鉄道岩泉小本駅から西に約10キロ離れた集落にある。平屋建てで認知症の高齢者ら9人が入居しており、職員は隣の別の高齢者施設「ふれんどりー岩泉」(3階建て)にいたとみられる。
町は30日午前9時から避難準備情報を出していた。町内は31日午前中も土砂崩れで各地の道路が寸断されており、多くの集落から「孤立した」との救助要請が消防に寄せられている。停電も起きており、電話が通じにくい状態という。国交省などによると、同日午前5時現在、町内で約2000人が孤立しているとみられ、ヘリコプターで順次、病院などに搬送している。
台風10号通過に伴い、東北や北海道では負傷者や家屋被害も相次いでいる。

局地的に猛烈な雨

気象庁によると、台風10号の通過に伴い、北海道や東北を中心に局地的に猛烈な雨が降り、北海道富良野市や南富良野町では1時間に約90・0ミリを記録したほか、岩手県宮古市や久慈市で同80・0ミリ、北海道伊達市では同70・0ミリを観測した。
高齢者グループホームで9人の死亡が確認された岩手県岩泉町では29〜30日の積算雨量が8月の1カ月分の平均を大きく上回る248・0ミリを記録した。台風10号が岩手県に上陸した30日夕方ごろ、岩泉町の1時間の降水量は70・5ミリを観測した。
気象庁は記録的な大雨について台風10号が東北地方沿岸に直接上陸したことが原因と指摘。台風が勢力を保ったまま海上から直撃したことで、強い雨雲が東から西に流れ大雨を降らせたという。
これに加え、高藪縁(たかやぶゆかり)・東京大大気海洋研究所教授(気象学)は、日本海から東北地方上空に冷たい大気の塊「寒冷渦」が移動してきた影響を指摘する。高藪教授は「寒冷渦の進行方向の先端では大雨が降りやすい。
今回は、西から東に進んできた寒冷渦の先端と台風の湿った空気が重なったため、雨量が増えたと考えられる」と話した。

施設近くの川、水位が急上昇 最高で6.61メートル

遺体が見つかった岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽ん楽ん」のすぐ近くを流れる小本川の水位は、30日午後6時からの2時間で急速に上がっていた。
県がホームページで公開している河川情報によると、グループホームから約4キロ離れた小本川の赤鹿観測所では、台風10号の接近に伴って30日夕方から水位が上がり始めた。
午後6時の水位は3・17メートルだったが、同7時には5・1メートルに達し、堤防の高さ(4・87メートル)を越えた。
その後の1時間で水位は一気に1・5メートル上がり、午後8時時点で6・61メートルに達した。この後水位は次第に下がっていくが、31日午前0時までは堤防の高さを越える状態が続いていた。



孤立集落の住民救出活動続く 岩手・岩泉町

台風10号で大きな被害を受けた岩手県岩泉町で、孤立している集落の住民の救出活動が5日も続いている。
岩泉町では、台風12号から変わった熱帯低気圧の影響で、土砂災害の危険性が高まっているとして、4日から町内全域(4586世帯9947人)に「避難指示」が出されている。4日は、孤立している集落の住民約150人をヘリコプターで救出していて、5日は、残る500人余りのうち、113人が避難する予定。
岩手県によると、台風10号による県内の犠牲者の数は、5日午前6時現在、15人となっている。また、情報を精査した結果、安否不明者は8人となっている。
「避難指示」を受けて、5日、町内に17ある小中学校の一部で「休校」の措置が解除される予定だったが、継続されている。

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