2016.9.12 : 南シナ海 問題(ASEAN)
南シナ海は資源豊富な海域で、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイが領有権を主張しています。このうち中国は、独自に設定した「九段線」と呼ばれる境界線を根拠に、
南シナ海のほぼ全域に管轄権を持つと主張。人工島を次々に造成し滑走路やレーダー施設を建設するなど、この海域で軍事的な動きを加速させていて、周辺国との対立を深めています。
この中国が主張する管轄権について、ことし7月、国際的な仲裁裁判が「法的根拠がなく、国際法に違反する」という判断を示しましたが、中国は受け入れていません。
9/6から3日間、ラオスで開かれていたASEAN=東南アジア諸国連合の一連の首脳会議が8日閉幕し、焦点の南シナ海の問題では、中国とASEANが法的拘束力を持つルールの策定に向け、
交渉を加速させることなどで合意した一方、中国の主張を否定した仲裁裁判の判断については議論が深まりませんでした。
ラオスの首都ビエンチャンで6日から開かれているASEANの一連の首脳会議は、日本時間の8日午後7時ごろ、すべての会議を終えて閉幕しました。
今回の会議では、南シナ海の問題への対応が大きな焦点となり、ASEANと中国の間で、法的拘束力を持つルール「行動規範」の策定に向け、
来年中ごろまでの枠組み合意を目指して交渉を加速させることや、船どうしの不測の衝突を回避するための国際的なルールを活用することで合意しました。
また、南シナ海での中国の主張を否定した国際的な仲裁裁判の判断をめぐっては、8日に開かれた東アジアサミットで、日本とアメリカが仲裁裁判の判断は法的拘束力があるとする立場を改めて強調しました。
しかし、中国と領有権を争うフィリピンやベトナムを含む、ASEAN10か国が、ASEAN内部での対立を回避するため、仲裁裁判の判断について発言を避ける姿勢を取ったことから議論は深まりませんでした。
一方、核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返している北朝鮮の問題については、東アジアサミットで、各国が一致して北朝鮮に核兵器や弾道ミサイルの開発を放棄するよう求める内容の声明を採択しました。