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2016.8.9 : 「イチローが嫌いだ」その真意は?




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大リーグ、マーリンズのイチロー選手が8日、史上30人目の通算3000本安打を達成しました。この記録達成に合わせるかのように、イチロー選手が登場するCMが今月5日から放送されています。このCMの冒頭で使われているキャッチコピーについて、ネットでは賛否両論の声が上がっています。

「イチローが嫌いだ」

イチロー選手が登場するのは、トヨタ自動車が2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、社会的な機運を高めようと行うキャンペーンのCMです。リオデジャネイロオリンピックの開幕前日の今月5日から放送が始まりました。
CMは「イチローが嫌いだ」というナレーションから始まります。
イチロー選手がひたむきにトレーニングに打ち込む様子。それに、リオデジャネイロオリンピックとパラリンピックに出場する4人の選手が世界の頂点を目指して練習する様子が交互に描かれます。
そして、イチロー選手を「嫌う」4つの理由が語られます。

「あの人を見ていると、限界という言葉が言い訳みたいに聞こえるから」
「あの人を見ていると、自分に嘘がつけなくなるから」
「あの人を見ていると、努力すら楽しまなきゃいけない気がするから」
「あの人を見ていると、どんな逆風もチャンスに見えてくるから」

このあと「でも、同じ人間のはずだ」という字幕。
最後に「さあ、世界を動かそう」という字幕で締めくくられます。

ネット上では反応さまざま

 

ツイッターやフェイスブックには、「ものすごくグッときた」「頑張らないとって思うよね」「そのCMが流れてる最中、3000本安打を達成させるイチローってスゴイな」といった好意的なコメントが寄せられています。
一方で、刺激的なキャッチコピーから、「冒頭の部分しか頭に残らないので見かける度に、もやっとする」「伝えたいことは分かるけど、CMのコピーが苦手。やっぱり負の力を持つ言葉だからなんだろうな」「頑張っても結果が出ない人は複雑な気持ちになる」などといった否定的な声も上がっています。

CMの狙いは

 

賛否両論の声が上がるこのCM。その真意はどこにあるのでしょうか?
トヨタの国内向けの広告などを手がける、トヨタマーケティングジャパンの伊原麻弥さんは「『そこでやめるのか』と問いかけるようなイチロー選手の後ろ姿を見て、アスリート一人一人が、 それぞれの世界で、ひたすらに練習を続けます。1つの道を、自分を磨きながら歩くことのすばらしさが、イチロー選手という圧倒的な存在と、世界の頂点を目指す4人の選手を通じて伝わるのではないかと思います」と話しています。
また、CMの放送が始まったタイミングについて、伊原さんは「リオデジャネイロオリンピック開幕は意識していましたが、イチロー選手の記録達成の時期については全く意識していませんでした」と話しています。

イチロー選手や選手の反応は?

 

伊原さんによりますと、イチロー選手はCMの意図を理解したうえで、「イチローが嫌いだ」というキャッチコピーについても了承しているということです。
また、このキャッチコピーやコメントは、あくまでもCMの制作者が考えたもので、ナレーションもプロのナレーターがしています。
CMに出演した選手の1人で、棒高跳びのオリンピック代表、山本聖途選手はツイッターで「イチロー選手は好きだ。憧れだ」とつぶやいています。

「最後まで見てほしい」

 

ネット上で賛否両論の声が上がっていることについて、伊原さんは「冒頭のキャッチコピーがあまりにインパクトがあるので、最初の部分しか見ていない人は不快に思うかもしれませんが、最後まで見ていただければ、私たちが伝えたいメッセージをわかってもらえると思います」と話していました。
ツイッターにはこんなつぶやきもありました。
「諦めたい時、この人を見ていると諦められない。だから嫌い。僕もそう思う」 
「『イチローが嫌いだ』と言えるくらい、追い込んでないもんなぁ」


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