2016.8.9 : 長崎原爆投下から71年
長崎に原爆が投下されてから71年となる「原爆の日」の9日、長崎市で平和祈念式典が開かれ、田上富久市長は、平和宣言の中で、アメリカのオバマ大統領の広島訪問に触れ、核保有国の首脳らに被爆地への訪問を要請し、核兵器のない世界に向け人類の英知を結集するよう呼びかけました。
長崎市の平和公園で開かれたことしの平和祈念式典には、被爆者や遺族などおよそ5600人のほか、海外から53の国と地域の代表が参列しました。
はじめにこの1年間に亡くなった人や新たに死亡が確認された人、合わせて3487人の名前が書き加えられた17万2230人の原爆死没者名簿が奉安箱に納められました。
そして、原爆が投下された午前11時2分に合わせて平和の鐘が打ち鳴らされ、原爆で亡くなった人たちに黙とうをささげました。
長崎市の田上市長は、平和宣言の中で、現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪問したオバマ大統領について、「その行動によって、自分の目と、耳と、心で感じることの大切さを世界に示しました」と述べました。
そのうえで、「事実を知ることが核兵器のない未来を考えるスタートラインです」と述べ、核保有国の首脳らに被爆地への訪問を要請しました。
また、核兵器は「人間を壊す残酷な兵器だ」として核兵器のない世界に向け各国が英知を結集するよう呼びかけるとともに、日本政府に対しては、「核兵器の廃絶を訴えながらも一方では、核抑止力に依存する立場を取っている」と述べ、核抑止力に頼らない安全保障の枠組みを検討するなど唯一の被爆国としてリーダーシップを発揮するよう求めました。
続いて、被爆者を代表して長崎県被爆者手帳友の会の会長井原東洋一さんが「平和への誓い」を読み上げ、国会や政府に対し「安全保障関連法を廃止し、アメリカの核の傘に頼らず、核保有国には核兵器の先制不使用宣言を働きかけるなど、核兵器禁止のために名誉ある地位を確立されることを願っています」と述べました。
長崎では9日の一日、原爆の犠牲者を追悼する人たちの姿が見られました。
核兵器の廃絶を先頭に立って訴えてきた被爆者が少なくなるなか、核廃絶に向けた次の1歩をどう踏み出すのか、考える一日となりました。