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2016.8.26 : 公的年金積立金の運用実績 5兆円余の赤字





公的年金の積立金を運用しているGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人は、ことし4月から6月の運用実績が、イギリスが国民投票でEU=ヨーロッパ連合からの離脱を決めたことで、世界的な株安となったことなどの影響で、5兆2000億円余りの赤字になったと発表しました。
公的年金の積立金を運用しているGPIFは26日午後、ことし4月から6月の運用実績を発表しました。
それによりますと、積立金全体の収益は5兆2342億円の赤字で、収益率はマイナス3.88%でした。このうち、市場運用分の収益の内訳は、国内株式が2兆2574億円の赤字、外国株式が2兆4107億円の赤字、国内債券が9383億円の黒字、外国債券が1兆5193億円の赤字などとなっています。 これにより、GPIFが運用する積立金の総額は129兆7012億円になりました。
GPIFは運用の収益性を高めるため、おととし10月に積立金の運用方針を見直し、国内株式と外国株式の割合を、それぞれ「12%」から「25%」に引き上げましたが、それ以降の運用実績の累積も、今回初めて赤字になりました。
GPIFは、昨年度の運用実績も、中国経済の減速に端を発した世界同時株安などの影響で5兆3000億円余りの赤字になっています。
GPIFの森新一郎広報責任者は、26日の記者会見で、「イギリスが国民投票でEUからの離脱を決めて、世界的な株安になったことなどが影響した。短期的な運用評価損によるもので、年金給付には影響しない。GPIFの運用方針は、優良な資産を長期に保有していくところにあり、着実に資産を増やしていける」と述べました。

運用実績悪化 その背景は

 

GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人の運用が悪化した背景には、金融市場で円高と株安が急激に進んだことがあります。
ことし4月から6月までの3か月間で、日経平均株価は1180円余り、率にして7%余り値下がりしました。
また4月上旬に、1ドル=112円台をつけていた円相場は、6月末には102円台まで値上がりしました。
これは、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問うイギリスの国民投票への警戒感が市場で強まっていたことに加えて、多くの投資家の予想に反して実際に離脱が決まったことが背景にあります。
一方でGPIFが保有する株式の時価総額は、ことし3月末時点で東京証券取引所1部に上場している株式全体の6%を占めていて、市場関係者は株式市場に影響を与える機関投資家として、その運用方針に注目しています。


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