2016.8.22 : リオ五輪終る 最高の感動
熱戦を繰り広げた選手たちに降り注ぐ雨が、別れの瞬間を告げていた。
マラカナン競技場で21日夜(日本時間22日午前)に行われたリオデジャネイロ五輪の閉会式。
五輪旗がリオ市から次回の開催都市である東京都に渡され、南米で史上初めて行われたスポーツの祭典は幕を閉じた。
東京五輪は2020年7月24日〜8月9日、新国立競技場(東京都新宿区)をメイン会場に33競技が行われる。
マラカナン競技場は、新国立競技場と同様、スタンドの一部分に屋根が架かっているものの、基本的には屋外競技場。
前日のサッカー男子決勝、ブラジル−ドイツ戦では超満員の観客が声援を送ったが、この日は悪天候も影響したためか空席が目立ち、観客席が埋まらないという大会運営の課題を最後まで克服できなかった。
観光名所であるコルコバードのキリスト像が人文字でつくられ、大会エンブレム、五輪マークと姿を変えた。選手の入場行進は開会式と異なり、現地ポルトガル語のアルファベット順に行進したのは旗手とボランティアのみ。
その後を選手やコーチたちが思い思いに入場した。海外勢はスマートフォンで自分自身や風景などを撮影したり、
ブラジル音楽に乗り踊ったりしながら入場したが、日本選手団は日本とブラジルの小旗を持ちリラックスした様子で行進しました。
五輪の価値を高めるためにこの日、国際オリンピック委員会(IOC)がスタートさせた専門テレビ「五輪チャンネル」の開始セレモニーも行われた。ステージに上ったレスリング女子の伊調馨(ALSOK)の隣で踊ったのは、開会式でトンガの旗手を務めたテコンドー選手。
民族衣装をまとい、オイルのようなものを裸の上半身に塗って肉体美を披露した入場行進は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で大きな話題を呼んだ。
話題のトンガ選手を再登場させ、SNSに親しむ若者を五輪に引き込んだ。隣で伊調も笑みを浮かべた。
最終日に競技が行われた男子マラソンの表彰式も行われ、IOCのバッハ会長が優勝したエリウド・キプチョゲ(ケニア)らにメダルを授与すると、観客席に拍手が起きた。
リオ市から東京都への五輪旗引き渡し式では、リオ市のパエス市長からバッハ会長を経て、小池百合子都知事に五輪旗が手渡された。
17日間ともされた聖火は、上空から降り注いだ水によって消えた。約3時間に及んだ閉会式は、リオのカーニバルを模した盛大な踊りと花火によるフィナーレで幕を下ろした。
リオでは引き続きパラリンピックが9月7〜18日に行われる。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は閉会式のスピーチでブラジルが政治的、経済的に困難な状況でありながら開催された大会を「人々は厳しい状況にありながらも、世界中を歓待してくれた」と評価した。
五輪開催によって変容したリオの姿を「素晴らしい大会、素晴らしい都市だった。今回の五輪は来るべき世代に独自のレガシー(遺産)を残した」と述べた。最後にリオ五輪の閉会を宣言して「4年後、世界中の若者が日本の東京に集まるよう求めます。我々とともに第32回大会をともに祝福するために。さようならリオ」と締めくくった。
大会組織委員会のカルロス・ヌズマン会長は「リオ市は世界で最も重要な大会を運営できる能力があることを世界に示した」と述べ、開幕前に準備の遅れや予算不足などさまざまな問題が不安視されていた大会が、大過なく終わったことを喜んだ。
その大会運営に欠かせないボランティアに対しては「皆さんを誇りに思う。その笑顔で大会に彩りを添えてくれた」と感謝した。