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2016.7.3 : バングラデシュ、テロ、日本人7人殺害





バングラデシュの首都ダッカで武装集団がレストランを襲撃した人質テロ事件で、治安部隊は2日、救出作戦を実行し、 人質のうち日本人1人を含む13人を救出したが、20人が死亡した。実行犯6人は殺害され、1人は拘束された。
現地当局者が明らかにした。菅義偉官房長官は2日深夜、首相官邸で緊急記者会見し、日本人7人の死亡が確認されたと発表した。
亡くなった7人はいずれも国際協力機構(JICA)の円借款事業で現地に赴いていた建設コンサルタント会社の関係者で、男性5人、女性2人。
遺体の搬送された病院で、渡辺正人駐バングラデシュ大使らが写真の照合や所持品などから身元を確認した。
事件では1日午後9時半(日本時間2日午前0時半)ごろ、武装集団がダッカ中心部、グルシャン地区のレストラン「ホーリー・アルチザン・ベーカリー」を襲撃し人質を取って立てこもった。 治安部隊は2日午前7時40分(同午前10時40分)ごろ内部に突入し、約3時間後に鎮圧した。
救出された日本人は東京都内のコンサルタント会社社員、渡辺玉興(たまおき)さん。萩生田光一官房副長官によると、被弾しており、搬送先の病院で在バングラ大使館員に「日本人7人の仕事仲間と食事をしていた」と話したという。
AFP通信は、バングラ陸軍報道官の話として、人質20人は突入前に武装集団に殺害されていたと報じた。報道官は「犠牲者の多くはイタリア人と日本人だった。遺体は鋭利な武器で容赦なく切られていた」と話した。イタリアのジェンティローニ外相は2日、 イタリア人犠牲者は9人と明らかにした。脱出した人質の父親は地元メディアに、襲撃者が人質にイスラム教の聖典コーランを暗唱させ、できない者を拷問したと語った。 救助されたイタリア系アルゼンチン人シェフは「襲撃者は外国人だけを探していた」と伊メディアに語った。
標的となったレストランは、日本や米国など各国の大使館が多い地区にあり、日ごろから外国人客に人気があった。事件当時はラマダン(イスラム教の断食月)最後の金曜日で、夜になってから飲食する人でにぎわっていたとみられる。
店のスタッフによると、武装集団は「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいた。地元メディアによると、武装集団は店内で客に向かって銃を乱射。異変に気づいた従業員が「逃げろ」と叫びながら裏口に向かったが、状況を理解できなかった客が逃げ遅れた。
続いて爆発音が響き渡り、客は散り散りに逃げた。駆け上がった屋上から隣のビルに飛び移って逃げる人もいた。外国人約20人を含む約35人が人質になったとみられる。
過激派組織「イスラム国」(IS)は2日犯行声明を出し「十字軍の国民」を狙ったと述べた。ISの影響下にあるニュースサイト「アーマク通信」は、「外国人を含む24人を殺害し、40人を負傷させた」と伝え、犠牲者のものとされる写真も発信してISの関与を報じたが、 米国の情報筋からは国際テロ組織アルカイダ系の「インド亜大陸のアルカイダ(AQIS)」が関与した可能性を指摘する声も上がっている。



菅官房長官は2日深夜の記者会見で、「バングラデシュの発展のため尽力していた人がこのような結果に終わってしまい、痛恨の極みだ。ご冥福をお祈りする」と語った。また、「政府としてなし得る限りの支援をしていく」として、 遺族の現地入りや亡くなった7人の帰国のために3日中にも政府専用機を現地に派遣する準備に入ったことを明らかにした。 政府高官によると、バングラデシュ側は日本政府に対し、「7人は治安当局による現場突入前にすでに殺害されていた」と説明しているという。治安部隊がレストランに突入したタイミングについて、菅氏は「バングラデシュ政府で判断されることで、我が国として申し上げることではない」と述べるにとどめた。また、岸田文雄外相は2日深夜、国連安全保障理事会で今回の事件に対する非難決議の採択を目指し関係国と調整に入る考えを記者団に示した。


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