2016.7.22 : 「ポケモンGO」日本でも配信開始
世界中で人気を集めているスマートフォン向けのゲームアプリ「ポケモンGO」が日本でも22日から配信が始まりました。店舗や観光地などでは来客が増えるといった経済効果も期待されています。
「ポケモンGO」は任天堂のほか、任天堂が出資する「株式会社ポケモン」、それにアメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が開発と配信などのプロジェクトに参加したゲームアプリで、スマートフォンのカメラと位置を把握するGPS機能を使って、
実際の風景の中に現れたキャラクターを捕まえたり、ほかのユーザーと対戦したりするものです。
会社側はアメリカやドイツなど36か国に続き、日本でも22日から配信を開始したと発表しました。
キャラクターを集めるためには屋外を歩き回りながら探す必要があり、先行して始まったアメリカでは画面に集中するあまり足をくじくなどけがをする事例が報告され、アメリカの交通当局が熱中しすぎないように注意を呼びかけるなど、社会現象となっています。
日本でも配信に先だって内閣サイバーセキュリティセンターがゲームに集中するあまり事故に遭わないようLINEやツイッターで注意点を知らせる取り組みを始めました。
具体的には、歩きスマホや自転車に乗りながら遊ばないこと、危険な場所の近くで遊ばないこと、大雨警報など防災情報を受信できるアプリを入れて天気に気をつけること、気温が高い日は熱中症に気をつけることなどを挙げています。
ポケットモンスターは20年前の平成8年に任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」向けに第1作が発売されました。
それ以降、シリーズの累計の販売本数は世界で2億本を超え、テレビアニメで放送されたり映画化されたりするなど世界中に知られる人気ゲームになりました。
ポケットモンスターは多くの謎を持った架空の生き物という設定で、700以上の種類が登場し、中でもネズミを模した「ピカチュウ」が人気です。
ゲームのプレイヤーはモンスターボールと呼ばれる道具を使ってポケモンを捕まえ、中に入れて持ち運び育てることができます。
ポケモンは、さまざまな技を覚えることができ対戦することでレベルアップしていきます。
「ポケモンGO」とは、スマートフォン向けのアプリで、任天堂の人気ゲーム「ポケットモンスター」のキャラクターを使ったものです。
スマートフォンの位置情報とAR=拡張現実の技術を組み合わせているのが特徴で、スマートフォンを持って特定の場所に行くと現実の風景の中に「モンスター」の画像が現れます。
「ポケモンGO」の開発と配信などのプロジェクトには、任天堂のほか、任天堂が出資する「株式会社ポケモン」、アメリカのゲーム会社「ナイアンティック」が参加しています。
今月6日にアメリカやオーストラリアで配信が始まり、その後、世界各国に広がって日本は37番目となります。
一方で、いわゆる「歩きスマホ」を助長するのではないかという懸念もあるため、会社側は、まわりをよく見て遊ぶよう注意喚起の画面をゲームの起動のときに毎回表示することや、画面を見続ける必要がないよう「モンスター」が近くにいるとスマートフォンが震えることで存在を知らせる仕組みにするなどの対策を取っているとしています。
ポケモンGOを開発したアメリカのゲーム会社「ナイアンティック」のジョン・ハンケ最高経営責任者は会社のホームページの動画で「日本で生まれたポケモンというすばらしい作品を現実の世界に届けることができ光栄だ。周囲をよく見て安全に遊んでほしい」と述べました。
「ポケモンGO」は、任天堂にとってスマートフォン向けのゲームとして初めてのヒット作となります。
ゲームアプリのダウンロード自体は無料です。
一方、ゲームを有利に進めようと、モンスターを捕まえたり、おびき寄せたりするための道具の一部については、100円から1200円程度のお金を払って買う仕組みで、この売り上げが会社側の収入となります。
また、特定の企業の店舗をゲーム内で道具が無料で手に入る所に指定するなど、企業との連携も行っていて、この契約による収入もあります。
ポケモンGOを共同開発した「株式会社ポケモン」に出資している「任天堂」は、33年前の昭和58年に発売した家庭用ゲーム機の「ファミコン=ファミリーコンピュータ」が爆発的なヒットとなったあと、次々と家庭用ゲーム機を世に送り出し、世界的なブランドに成長しました。
しかし、スマートフォン向けのゲームに押されて業績は低迷し、平成23年度から3年連続で営業赤字に陥るなど、経営の立て直しが迫られていました。
こうしたなか、任天堂は去年3月、IT企業の「ディー・エヌ・エー」と、スマートフォン向けのゲームの開発などを共同で進めるため、相互の株式を持ち合う形で資本提携することを発表し、それまでのスマートフォン向けのゲームに”対抗する姿勢”から”参入する姿勢”に方針転換していました。
「ポケモンGO」の日本での配信が始まったことで、店舗や観光地などで来客が増えるといった経済効果も期待されています。
ポケモンGOの日本での配信にあたっては、会社側はすでに「日本マクドナルド」との提携を発表し、店舗を訪れたユーザーにゲームを有利に進めるための道具を無料で提供して集客の拡大をねらっています。
会社側はこのほかの企業との提携は、今のところ未定としていますが、ポケモンGOを開発したアメリカのベンチャー企業「ナイアンティック」が手がけた「イングレス」という地図情報を使って陣取り合戦を行うゲームでは、さまざまな日本企業と提携しました。
具体的には、コンビニ大手のローソンや大手通信会社のソフトバンクなどと提携して実際の店舗への集客を図ったほか、神奈川県横須賀市と連携してゲームのユーザーが市内の観光ルートを巡るとレベルアップにつながる仕組みもありました。
ポケモンGOは、地図情報に基づいて各地の観光地や有名スポットなどがあらかじめ「ポケストップ」という拠点に数多く設定されています。
ゲームを有利に進めるための道具を無料で入手できる場所になっていることから、ゲームのユーザーが道具を手に入れるため各地の観光地などを訪れる形で集客効果が期待されています。
専門家の間では、こうしたポケモンGOの経済効果を「ポケモノミクス」と名付け、国内の個人消費の拡大につながる起爆剤になるのではないかと期待する見方もあります。
アニメやゲームシリーズ「ポケットモンスター」に登場する架空の生き物「ポケモン」を、スマートフォンの画面上で捕まえるゲームです。人工(じんこう)衛星(えいせい)
の電波を使ってスマホを持っている人の位置を特定する位置情報機能を活用しており、利用者がいる周辺の地図がゲームの舞台として画面に表示されます。
利用者は地図を手がかりに現実の街を歩き回りながらポケモンを探し、捕まえたポケモンを他の利用者のポケモンと対戦させて遊びます。
最大の特徴(とくちょう)は、スマホのカメラで映した実際の風景の中に、コンピューターグラフィックス(CG)のポケモンが合成されて現れること。このように、
現実の世界にコンピューターによる情報を付け加える技術を拡張(かくちょう)現実(げんじつ)(AR)と呼びます。ポケモンGOを開発したのは、
米グーグルの社内ベンチャーを前身とする米ゲーム開発会社ナイアンティックで、ポケモンゲームシリーズを販売してきた任天堂と、同社が32%の株式を持つキャラクター管理会社ポケモンが協力しています。