2016.4.22 : 大地震の心がけ
備えていたとしても、実際に地震が起きた場合はどうしたらいいだろうか。 自宅にいる時にグラリと来たら、どのように行動すべきか。高齢者・子供連れの避難についても、あらかじめ知っておきたいことをまとめました。
東京都は防災ガイドブック「東京防災」で、(1)揺れが収まってから行動する(2)火元を確認する(3)出口を確保する(4)ガラスや塀から離れる−−と原則を示している。
リビングやキッチンでは、家具の下敷きになることや、窓や照明器具が割れてガラスが飛び散ることによるけがに注意が必要。揺れを感じたら机の下に入って、落ちてくる物に直撃されるのを防ぐ。机の足をしっかり押さえよう。調理中の場合は慌てず、揺れが収まってから火を消す。
寝室にいる時は、枕や布団を頭にかぶせて落下物をよける。ガラスが飛び散っているものと考え、厚手のスリッパを履いて移動する。停電時に自動的につく保安灯を備えておくとよい。
入浴中に地震に遭うと、裸のためけがをしやすい。洗面器をかぶり安全な場所へ。トイレは閉じ込められやすいので、揺れを感じたらドアを開けて避難経路を確保することが大切だ。
閉じ込められた場合は、大声を出して助けを求めると体力を消耗する。近くにある物でドアや壁をたたいて大きな音を出し、人がいることを知らせる。
夜に避難する場合は暗いため、転んだり側溝に落ちたりしやすい。一層の注意が必要だ。サンダルや裸足でなく、しっかりした靴を履き、懐中電灯を使いながら移動する。
危機管理アドバイザーの山村武彦さんは「防災は事前対策が8割。特に今回の熊本地震のような直下型はいきなり来るので何もしようがない。準備を怠らないことが何よりも大切」と指摘する。マニュアルに絶対はなく、
建物の条件によって避難方法は異なる。鉄筋マンションなど耐震性の高い建物にいる時は慌てて外に出ない。
古い木造家屋は押し潰される危険があるので1階にいたら早く外に出る。2階にいたら慌てて下りない。
高齢者はなるべく一人にせず、家族や近所の人が一緒に逃げてあげて」。NPO法人「高齢者住まいる研究会」代表の寺西貞昭さんは話す。転倒しやすいため車椅子に乗せるか、ない場合はリヤカーや荷運び用カートに乗せるのも手。寝たきりの人は担架、ない時は毛布を折りたたんで四隅を持つと代用できる。
持病のある人が多いので、使っている薬は必ず持って行く。他の人が見て分かるようにしておこう。また、気候の変化から体調を崩しやすいので寒い時はカイロや上着で暖かく、暑い時は冷却剤を活用して調節するとよいという。
お年寄りの中には「家を離れたくない」という人が少なくない。家が安全であれば無理に移動せず、家で様子を見よう。
認知症の人の対応は難しい。避難所で周囲の人とトラブルを起こすケースもある。可能であれば老人ホームや老人保健施設など介護のプロがいる場所に行くことを考えたい。
寺西さんは「お年寄りは自分から支援を求めるのを遠慮する人が多い。いざという時に助けを求められるように、日ごろから近所の人と人間関係を作っておきましょう」と呼びかけている。
「子連れの避難について、危機管理アドバイザーの国崎信江さんは「乳幼児を連れて逃げるなら、ベビーカーでなく抱っこひもを使いましょう」と助言する。ベビーカーやおんぶだと物が飛んできた時、すぐに守ることができないためだ。
離れた場所に子供がいても、名前を何度も呼ぶのはやめよう。子供は呼ばれると周りが危険でも親の方に来ようとしてしまい、けがをする恐れがある。それより、「窓から離れて」「頭を隠して」と具体的に指示するとよい。
「子供ができることは限られている。子供を守れる家にしておくのは親の責任」と国崎さん。親がいない時にも、近所の人に気に掛けてもらえるよう、やはり普段からの関係作りが大切だ。