2016.4.13 : 本屋大賞 宮下奈都さんの「羊と鋼の森」に
全国の書店員たちが「いちばん売りたい本」を投票で選ぶ、ことしの本屋大賞は、ピアノ調律師の青年の成長を描いた宮下奈都さんの小説、「羊と鋼の森」が受賞しました。
本屋大賞は、毎年全国の書店員たちが「いちばん売りたい本」を投票で選ぶ賞で、過去の受賞作はいずれもベストセラーとなり、映画やテレビドラマにもなるなど影響力の大きい賞として注目されています。
12日夜、東京・港区で受賞作が発表され、ことしは宮下奈都さんの「羊と鋼の森」が受賞しました。
この作品は、北海道の山あいで育った青年がピアノの音に魅せられ、ピアノの調律師として成長していく物語です。心の中にある理想のピアノの音を追い求める青年が職場の先輩や客たちとの交流を通じて、
悩んだり励まされたりしながら自分の道を見つけ出していく姿を、繊細でみずみずしい文章で描いています。
作者の宮下さんは福井県出身の49歳。上智大学を卒業し、菓子メーカーに勤めたあと、平成16年に3人目の子どもを妊娠中に執筆した「静かな雨」が文芸雑誌の新人賞の佳作に選ばれデビューしました。
今回大賞に選ばれた「羊と鋼の森」は、受賞はならなかったもののことしの直木賞の候補にもなり、話題となっていました。
本屋大賞を受賞した宮下奈都さんは「この作品の主人公は普通の人間ですが、可能性を信じて一歩ずつ進む姿勢に共感してもらえたのかもしれません。
書いていて逆に私自身も励まされましたが、読んでくださった方々が希望を感じてくれたらありがたいです」と話しました。
受賞したことについては「好きなように書いた作品なのでどのように受け入れられるか不安でしたが、本屋大賞をいただけて、とても勇気づけられました。これからも好きなものを好きなように書いていきたいです」と語っていました。
大賞:『羊と鋼の森』宮下奈都氏(文藝春秋)
2位:『君の膵臓をたべたい』住野よる(双葉社)
3位:『世界の果てのこどもたち』中脇初枝(講談社)
4位:『永い言い訳』西川美和(文藝春秋)
5位:『朝が来る』辻村深月(文藝春秋)
6位:『王とサーカス』米澤穂信(東京創元社)
7位:『戦場のコックたち』深緑野分(東京創元社)
8位:『流』東山彰良(講談社)
9位:『教団X』中村文則(集英社)
10位:『火花』又吉直樹(文藝春秋)