2016.3.29 : 税制改正関連法成立 軽減税率導入など盛り込む
来年4月に消費税率を10%に引き上げるのに合わせて「軽減税率」を導入することなどを盛りこんだ新年度=平成28年度の税制改正関連法案が29日の参議院本会議で賛成多数で可決され成立しました。
新年度の税制改正関連法案は29日午後の参議院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決され成立しました。
この中では、来年4月に消費税率を10%に引き上げるのに合わせて「軽減税率」を導入し、対象品目を、「酒類」と「外食」を除いた飲食料品のほか、定期購読の契約をした週2回以上発行される新聞とします。
また、事業者の納税額を正確に把握するため、税率や税額を記載する請求書「インボイス」を平成33年度から導入するとしています。
このほか「法人税の実効税率」については、来月以降、現在の32.11%から29.97%に引き下げるのに続いて、平成30年度にはさらに29.74%まで段階的に引き下げていくとしています。
このほか、親の助けを借りながら出産や子育てができる3世代の同居を希望する世帯を支援しようと、3世代の同居のために住宅を改修した人の所得税を軽減するほか、市販の薬を一定の金額以上購入した場合、
その費用の一部を課税対象となる所得から差し引いて税負担を軽減する制度などが盛り込まれています。
消費税の軽減税率は、来年4月に消費税率が10%に引き上げられるのに合わせて導入されるもので、「酒類」と「外食」を除く飲食料品と、定期購読の契約をした週2回以上発行される新聞については、税率が8%に据え置かれます。
軽減税率の対象となる「飲食料品」と対象にならない「外食」との線引きについて、法律では『いすやテーブルなど飲食の設備がある場所でのサービスの提供』と『客が指定した場所での飲食サービスの提供』を「外食」と定義するとしています。
例えば、牛丼屋やハンバーガー店で商品を購入して、そのまま店内で食べた場合は「外食」となって10%の消費税が課されます。一方、持ち帰る場合は「外食」に当たらず8%の軽減税率の対象になるほか、そば屋の出前やピザの宅配なども軽減税率の対象となります。
財務省は、「外食」に当たるかどうかの判断は「販売の時点」としており、客が購入の際に「持ち帰る」と言って軽減税率の適用を受けたのに、その後、気が変わったとして店内で食べた場合も軽減税率の対象のままだとしています。ただ、
個別の事例について判断に迷うケースもあるため、財務省は想定される問い合わせの回答を近く国税庁のホームページなどで公表することにしています。
消費税の軽減税率の対象から外れる「外食」の各社は、税率が8%のまま据え置かれる「持ち帰り」のサービスを強化しようと動き始めています。
このうち大手ハンバーガーチェーンでは、軽減税率が適用されるコンビニや食品スーパーの弁当や総菜などとの競争で不利になりかねないと危機感を強めています。そこで、軽減税率が適用され8%のままの「持ち帰り」の利用を増やす戦略に乗り出そうとしています。
具体的には、インターネットで注文を受けるサービスの強化です。このサービスは、ネットを通じて指定した時間に店で商品を受け取れるもので、利用者のほとんどが「持ち帰り」の客だということです。そこで、代金の割り引きなどに使えるポイントサービスやネット専用のメニューを新たに導入することで、
「持ち帰り」の利用を増やそうと考えています。さらに、座席を置かないカウンターと厨房だけの「持ち帰り」専用の店を出すことも検討したいとしています。
モスフードサービスの川越勉ブランド戦略室長は「軽減税率には強く反対してきたが、決まった以上は対応を検討していきたい」と話しています。
ところで、このハンバーガーチェーンを含めて多くの外食企業は、軽減税率を巡って別の課題にも直面しています。店のレジで「持ち帰り」として8%の税率で購入した客が突然、店内で飲食を始めた場合の対応です。
財務省は、この場合も軽減税率の対象のままだとしていますが、そうしたケースが相次いだ場合、どう対応すべきなのか頭を悩ませています。これについて、川越室長は「さまざまなケースを想定して従業員向けのマニュアルを作ることになるが、実際に客にどう声をかけたらよいのか、難しい問題だ」と話しています。