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2016.3.29 : 平成28年度予算 参院本会議で可決・成立

一般会計の総額が過去最大の96兆7000億円余りとなる新年度・平成28年度予算は、29日の参議院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立しました。
一般会計の総額で過去最大の96兆7218億円となる、新年度・平成28年度予算案は29日昼すぎ、参議院予算委員会で自民・公明両党などの賛成多数で可決されたあと、夕方開かれた参議院本会議に緊急上程されました。
本会議では討論が行われ、自民党は「デフレ脱却、経済再生への取り組みを加速させ、景気回復を確実なものとするためには、新年度予算を速やかに執行することが重要だ」と述べました。
これに対し、民進党は「アベノミクスの失敗を放置し、効果の検証や反省も不十分なまま編成された予算は断じて認められない」と述べたほか、共産党も「国民の暮らしの願いに応えず、格差と貧困をさらに深刻にする予算だ」と指摘しました。
このあと採決が行われ、新年度予算は、自民・公明両党のほか、日本のこころを大切にする党、新党改革などの賛成多数で可決・成立しました。
成立した新年度予算には、「一億総活躍社会」の実現に向けて、保育所などの受け皿を新たに増やすための整備費用や、幼稚園や保育所の保育料の軽減策、それに特別養護老人ホームを増やすための整備費用が盛り込まれています。
このほか、TPP=環太平洋パートナーシップ協定も踏まえ、農家の競争力を向上させるため、耕作放棄地を集約して意欲ある担い手の農家に貸し出す、いわゆる「農地バンク」の事業費も計上されています。
また、防衛費は、島しょ防衛を強化するため、新型輸送機オスプレイの導入経費などが盛り込まれ、初めて5兆円を超えました。

 

予算の主な内容は

予算では一億総活躍社会の実現に向けて、「希望出生率1.8」や「介護離職ゼロ」につながる子育て支援や介護サービスの充実を図っています。
具体的には、保育所の整備費用などとして2748億円。保育士などの待遇改善のための費用として177億円。「特別養護老人ホーム」などの整備費用として423億円を計上したほか、所得が低い世帯を対象にした幼稚園や保育所の保育料の軽減策の費用として126億円増額しました。 主な項目では、「社会保障費」は今年度より1.4%、金額で4412億円増えて、31兆9738億円となりました。
「公共事業費」は、防災・減災対策やインフラの老朽化対策などを進めるため、今年度とほぼ横ばいの5兆9737億円。
「文化、教育、科学技術関連予算」も、ほぼ横ばいの5兆3580億円でした。
「防衛費」は今年度より1.5%増えて5兆541億円と初めて5兆円を超え、島しょ防衛を強化するため、新型輸送機オスプレイや機動戦闘車を導入する経費などが計上されました。
また、「ODA=政府開発援助」も、中東やアフリカ地域のテロ対策の技術協力などに重点的に取り組むため、今年度より1.8%多い5519億円が計上され、平成11年度以来、17年ぶりの増加となりました。
一方、地方自治体に配分する「地方交付税」は、1.6%、金額で2547億円減って15兆2811億円となりました。
このほか、国債の償還や利払いに充てる「国債費」は、過去に発行した国債の残高が増えていることから1614億円増え、23兆6121億円となりました。
一方、特別会計では、東日本大震災の復興関連では3兆2469億円が計上されました。被災者の心のケアや生活再建の相談支援などを拡充するため、「被災者支援総合交付金」に220億円を計上しました。
新年度予算では税収の増加が見込めるため、国債の新規発行額が今年度より2兆円余り減って34兆4320億円となっていますが、歳入全体に占める割合は35.6%と、3分の1以上を借金に頼る厳しい財政状況が続いています。