2015.12.22 : 新国立競技場 A案に決定
東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場を巡って、政府は関係閣僚会議を開き、先に公表された2案のうちA案を採用することを決めました。
A案は、建築家の隈研吾氏がデザインした「大成建設」などでつくるグループの案で、「木と緑のスタジアム」がコンセプトとなっています。
政府は、新国立競技場の建設計画を巡って、事業主体であるJSC=日本スポーツ振興センターが、2つの企業グループの建設計画案、A案とB案の選定作業を終えたことを受けて、22日午前、
総理大臣官邸で関係閣僚会議を開きました。
この中で、JSC側は、審査の結果、A案が610点、B案が602点で、国民、アスリートの意見を踏まえ、A案を採用する方針を示しました。そして、関係閣僚会議は、JSCの選定作業が適切に行われたことを確認し、A案を採用するとしたJSCの選定結果を了承しました。
安倍総理大臣はA案について、「新整備計画で決定した基本理念、工期やコスト等の要求を満たす、すばらしい案であると考えている。新国立競技場を、世界最高のバリアフリーや日本らしさを取り入れた、世界の人々に感動を与えるメインスタジアム、
そして、次世代に誇れるレガシー=遺産にする。そのため、引き続き全力で取り組んでいただきたい」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「今後とも整備の進ちょく状況の点検を行い、透明性をもって国民にしっかりと説明していきたい。
引き続き、国、東京都、組織委員会が連携して、オリンピック・パラリンピック東京大会を成功に導いていただきたい」と述べました。
採用されたA案は、建築家の隈研吾氏がデザインした「大成建設」などでつくるグループの案です。コンセプトは「木と緑のスタジアム」で、スタジアムを取り囲む階層式のテラスにふんだんに緑を取り入れて、屋根にも多くの木材を用いているのが特徴です。
総工費は、政府が設定した上限1550億円の要請を満たす1489億円余りで、工期は2019年11月30日の完成となっています。
遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣は「整備計画の基本理念である、アスリート第一、世界最高のユニバーサルデザイン、周辺環境との調和や日本らしさ、そして、木材の活用を体現したすばらしい案が選ばれたと考えている」と述べました。
そのうえで、遠藤大臣は「国民の皆さまに、大変長い間、ご心配をおかけたしたが、新国立競技場が2020年東京大会のメインスタジアムとして、世界の人々に感動を与え、国民の皆さんに喜んでもらえるよう着実な整備を図り、大会を成功に導いていきたい」と述べました。
馳文部科学大臣は閣議の後の記者会見で、「オリンピックの開催に間に合わせ、大会が終わったあとの使いみちについても国民や都民に理解され、そして、レガシー=遺産として残っていくよう引き続き取り組んでいかないといけない。
まだまだオリンピックに向けての一里塚だと思うので、1つ1つのハードルをみんなでクリアしていきたい」と述べました。
そのうえで、馳大臣は「大会後の利活用については、整備計画で『競技場を核に、周辺地域の整備と調和の取れた形で、民間事業への移行を図る』とされているので、文部科学省を中心とした検討体制を設けたい」と述べました。
菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「開かれたなかで、多くの皆さんに説明しながら、また、実際に利用するアスリートの皆さんに意見を聞く中で選ばれた。
いずれの案もすばらしい案だが、A案は、ことし8月の整備計画で決定した基本理念、工期、コストなどの要求を満たす案であった。特に、今後の業務の実施方式、工期短縮の実現性、環境計画などが高く評価されたと聞いている」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「提案に基づいて設計、施工プロセスに入るが、2019年11月までにスタジアムが完成する予定だという提案なので、関係閣僚会議では、JSC=日本スポーツ振興センターの整備プロセスをしっかりと点検して、着実な整備を図りたい」と述べました。
スポーツ庁の鈴木大地長官は「緑が多く、非常に環境に配慮されたスタジアムだという印象を持っている。今後はJSCと官邸中心に進んで行くと思うが、われわれも精いっぱい連携して、支援していきたい」と話していました。
また、選手として初めてオリンピックに出場した1984年のロサンゼルス大会のメインスタジアムを振り返り、「開会式で行進したときに、会場全体から拍手と歓声が上がり、
鳥肌が立つ感じがしたことを覚えている。選手の気持ちが燃えればベストのパフォーマンスができると思うし、仕切り直しでいいスタジアムが建設されることを望みたい」と期待を寄せていました。