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2015.12.17 : 軽減税率 出前・持ち帰りは「加工食品」線引き決定

消費税の軽減税率を巡って、自民・公明両党は、店内で飲食する場合は「外食」として扱い、軽減の対象としない一方、出前や商品を持ち帰った場合は「加工食品」として対象に含めることなどを決めました。
消費税の軽減税率を巡って、自民・公明両党は、対象品目は、「酒類」と「外食」を除いた、「生鮮食品」と「加工食品」とすることなどで合意しましたが、「加工食品」と、対象から外れた「外食」の線引きがあいまいだという指摘が出ています
。 自民・公明両党は、15日に開いた税制調査会の会合で、「外食」について、「食品衛生法で規定される飲食店などが、その場で飲食させるため、テーブルやいすなどを設置した場所で食事を提供すること」と定義して、「加工食品」と区別することを決めました。
具体的には、牛丼店やハンバーガー店の店内で飲食する場合は「外食」に当たり、軽減税率は適用されませんが、商品を持ち帰ると「加工食品」として軽減税率の対象になります。
また、そばの出前やピザの宅配は「加工食品」となります。 一方、コンビニエンスストアで持ち帰りが可能な状態で売られている弁当を購入し、店内に設置された、いわゆる「イートイン」で食べた場合は「加工食品」となりますが、その場で食べることを前提に、返却の必要がある食器に盛られた食品の場合は「外食」として扱われます。

 

「加工食品」と「外食」の線引きは?

軽減税率の対象となる「加工食品」と対象にならない「外食」との線引きは、どのようになっているのでしょうか。
自民・公明両党では、「外食」の定義について「食品衛生法で規定される飲食店などが、テーブルやいすなど、その場で飲食させるための設備を設置した場所で行う食事の提供」などとしています。
具体的には、牛丼屋やハンバーガー店で商品を購入して、そのまま店内で食べた場合は「外食」となって、10%の消費税が課されます。
しかし、持ち帰る場合は「外食」に当たらず、8%の軽減税率が適用されます。
そば屋の出前やピザの宅配、それに、すし屋で買ったお土産なども『飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供』に当たらないため「外食」とはならず、軽減税率が適用されますが、店内で食べた場合は「外食」となり軽減税率が適用されません。
大型商業施設などにあるフードコートはテーブルやいすなどが設けられているので「外食」となり、そこで食べるラーメンなどは軽減税率の対象とはなりません。屋台の場合、テーブルやいすがなければ「外食」に当たりません。
一方、コンビニなどでイートイン・コーナーがあっても、「持ち帰りが可能な状態で販売される」弁当や総菜は軽減税率の対象となりますが、 例えば、トレイに載せて座席まで運ばれたり、返却の必要がある食器に盛られたりするなど、「その場での飲食を前提に提供される」場合は「外食」となって、軽減税率の対象外となります。 また、ケータリングや出張料理も「外食」に当たります。
このほか、飛行機での機内食は、シートが「飲食の設備」に当たるかどうかが明確ではないことなどから、「外食」となるかどうかはっきりしていません。
また、新幹線などのワゴンサービスで提供される食品も、「持ち帰りが可能な状態で販売される」かどうかが明確ではないことなどから、軽減税率の対象となるかどうかはっきりしていません。
今後、政府は、消費者や事業者の混乱を避けるため、軽減税率の対象となるかどうかの細かなルール作りを急ぐことにしています。

そば屋「客に理解を得られるか不安」

消費税の軽減税率で店内と出前で税率が異なることになる「そば屋」では、戸惑いの声が聞かれました。
川崎市中原区の中野拓也さんが運営するそば屋では、出前が売り上げ全体のおよそ6割を占め、店内の客への売り上げがおよそ4割を占めているということです。
再来年4月に消費税率が10%に引き上げられますと、出前の場合は軽減税率の8%が適用され、価格はそのままですが、店内で食べる場合は2%高い10%の税率が適用されることになります。
店では、異なる税率が混在することになるため、客から受け取った消費税の計算や処理の手間が増えると懸念しています。
店長の中野さんは「税率を分ける必要性が分からず、困惑している。同じ品物でも店内と出前で価格が変わることに理解を得られるのか不安だ。また、 手間のかかる出前のほうが税率が低くなるため、来店する客が減ってしまう事態は避けたい」と話しています。
この店では軽減税率の導入に合わせて、同じメニューでも店内と出前で価格を変えることで、客が実際に支払う税込の価格をそろえるか、出前と比べ価格が高くなる店内の客にはサービスの品を加えることなどを検討したいとしています。

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