2015.11.2 : 日韓首脳会談始まる
安倍総理大臣は韓国のソウルでパク・クネ(朴槿恵)大統領との初めての首脳会談に臨み、いわゆる従軍慰安婦の問題について、外交当局間の局長級の協議などを加速し、早期解決を目指すことを確認しました。また、両首脳は、今後も国際会議の場などを利用して、首脳間で意思の疎通を図っていくことで一致しました。
韓国のソウルを訪れていた安倍総理大臣は、2日午前10時すぎから1時間40分余りにわたって、韓国大統領府でパク・クネ大統領との初めての日韓首脳会談を行いました。
日韓首脳会談が行われるのは2012年5月以来、およそ3年半ぶりで、安倍総理大臣、パク大統領とも就任以来初めての正式な首脳会談となりました。
会談で、パク大統領は「私は外交において信頼を最も重視している。きょうの会談を、辛い歴史を癒やし、大局的に真実に基づいたものにすることで、両国関係のさらなる発展を見いだしていきたい」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「ことしは日韓国交正常化50周年だ。この50年間、日韓関係はさまざまな困難にも直面したが、友好協力の道を歩み、ともに発展してきた。未来志向の日韓関係の新たな時代を築くべく、ともに努力していきたい」と述べました
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そして、両首脳は、パク大統領が首脳会談の事実上の前提条件として解決を求めてきた、いわゆる従軍慰安婦の問題について、両国が未来志向の関係を築いていくため、将来の世代の障害にならないようにすることが重要だという認識で一致しました。そして、ことしが日韓国交正常化50周年の節目の年であることを念頭に、現在も続いている外交当局間の局長級の協議などを加速させ、できるだけ早期に解決を目指すことを確認しました。
また、安倍総理大臣は「国際会議などの機会を通じて、今回のような話し合いを続けていきたい」と提案し、両首脳は、今後も国際会議の場などを利用して、首脳間で意思の疎通を図っていくことで一致しました。
さらに、両首脳は、北朝鮮の非核化に向けた行動を引き出すため同盟国のアメリカも含めた日米韓3か国が安全保障分野で緊密に連携していくことや、拉致問題をはじめとする人道上の問題でも協力していくこと、それに、日中韓3か国のFTA=自由貿易協定やRCEP=東アジア地域包括的経済連携などの早期妥結を目指し、引き続き精力的に交渉を進めていくことを確認しました。
また、安倍総理大臣が、緊張が増す南シナ海の情勢について、「南シナ海の現状は国際社会の共通の懸念事項となっている。開かれた自由で平和な海を守るため、さまざまな機会で韓国やアメリカと連携したい」と述べたのに対し、パク大統領は「問題意識は共有する」と応じました。
会談のあと、同席した政府高官は、首脳会談の様子について、「両首脳とも、きたんのない意見交換を踏み込んで行い、非常に建設的なやり取りだった。特別、感情的になる場面もひとつもなく、中身のある有意義な会談だった」と述べました。