2015.11.18 : 抗生物質の危機「悪夢の耐性菌」
細菌感染の治療に欠かせない抗生物質。新薬の開発が滞る中、「最後の切り札」的存在の抗生物質まで効かない耐性菌が登場し、
使える薬がなくなるという危機感が高まっている。
中耳炎では、耐性菌により治りにくい患者が増加。
NICU(新生児集中治療室)では、母親が知らずに持っていた耐性菌が母子感染し、新生児が亡くなるケースも起きている。特に警戒されているのが、CREという腸内細菌の耐性菌。腸内に保菌しているだけでは無害だが、
血液中に入って炎症を起こすと、使える薬がほとんどなく、世界中で死者が出ている
日本には少ないと考えられていたが、初めての全国調査により、この1年で1700人以上の感染者がいたことが明らかになった。
最新の研究により、CREが様々な種類の菌を耐性菌に変えてしまう性質を持ち、従来の検査体制では発見が難しいこともわかってきた。
WHOは去年「このままでは近代医療が成り立たなくなる」と警告。
風邪など本来抗生物質が不要なときに使用しないことで「耐性菌を生みださない」取り組みや、これまで対策が行き届かなかった在宅ケアや介護の現場で「耐性菌を広げない」取り組みも始まっている。