2015.10.13 : 「平和の塔」の石めぐり、中国の博物館館長らが返還要求
宮崎市民の憩いの場所となっている、平和台公園にそびえる「平和の塔」。
日中友好の象徴である宮崎県の平和の塔について、中国・南京市の民間博物館の館長らが、「石を返せ」と要求していることがわかった。
高さ37メートル、土台として、内外から送られた1,700個以上の石が使われている。
ところが、これらの石の一部について、中国・南京市の民間博物館の館長らが、返還を求める準備を進めていることがわかった。
中国の神話に登場する「麒麟(きりん)」が彫られた、白っぽい石。
「南京日本居留民会」と刻まれている。
中国側は、これら3個の石は、かつて南京市から持ち去られたものだと主張している。
くしくも9日には、ユネスコが、南京事件に関する資料を世界記憶遺産として登録することを決定したばかり。
突然の返還要求の動きに、12日、公園に来ていた市民は「むちゃくちゃなこと言いますね。因縁つけているだけじゃないかな」、
「今さらそんなこと言われても。せっかくの楽しむ場所なので、このまま残してもらえたら」、「(返すとなれば、塔から)取って返さなければいけないわけだから、
大変だろうと思う」などと話した。
平和の塔は、日中戦争が行われていた1940年、神武天皇の即位2,600年祝賀行事の1つとして作られた。
設計したのは、彫刻家の日名子 実三氏で、サッカー日本代表のユニホームにも採用されているヤタガラスのシンボルマークをデザインした人物として知られている。
建設にあたっては、日本国内だけでなく、朝鮮半島や台湾、そして、満州から運び込んだ石も使われた。
1964年に開かれた東京オリンピックの聖火リレーでは、スタート地点の1つにもなった。
平和の塔の石を調査してきた、「八紘一宇」の塔を考える会・税田 啓一郎会長は、「わたしたちが差し上げた情報、資料をもとに(中国側が)『返してほしい』と来ているので、
僕らも『おっ』と思ったが、当然の要求ではあるなと」と語った。
一方、石の返還を求めている、南京民間抗日戦争博物館の館長に話を聞こうとしたが、館長は「(電話取材よろしいですか?)今時間がありません。あしたか、
あさってにしましょう。いいですか?(では、あしたか、あさって電話していいですか?)」と電話を切った。
館長らは10月下旬、宮崎県庁を訪れ、返還を求める申し入れ書を提出する予定だという。